経営者

会社を潰す、社長の「数字オンチ」

10年後に生き残れるか―中小企業の現状

日本の中小企業の7割が赤字経営にあるという事実をご存じでしょうか。現在日本にある法人は約380万社、そのうち99.7%、約337万社が中小企業です(出典:2024年度中小企業白書)。コロナ禍での経済損失、続く原材料高、人手不足 ―― 様々な課題が経営を圧迫する中、中小企業の10年後生存率は国税庁の調査によれば、わずか6.3%にすぎません。

「会社の数字=財務」を任せきりにすることが、会社を潰す

中小企業が倒産や廃業に追い込まれる理由のひとつは、社長自身が数字を学ばないまま経営を続けていることです。多くの経営者は営業や現場の指揮には熱心でも、財務や決算書については税理士や経理担当に任せきりにしてしまいます。

しかし税理士は、あくまで税務の専門家です。正しい納税のために決算書を作るのが役割であり、経営を強くするための助言は必ずしも行いません。そのため、節税を重ねた結果、資金繰りが苦しくなるケースも少なくありません。

一方経理担当の仕事は、会社の数字を集計することです。月次のお金の出入りをまとめ、決算書を作成し、会社の財務状況について社長に報告を行うのが経理であり、その情報を元に経営を行うのは、あくまでも社長の仕事です。しかし社長がその数字の正しい読み方を知らず、内容を理解しないまま判断を行い続けていたとしたら、その会社はどうなってしまうでしょうか。

「数字のことは経理に」「税理士に任せてあるから ーー 任せきりにすることは、財務という経営の羅針盤を生かせず、会社の舵取りを誤ることになりかねないのです

財務なくして事業継承なし

さらに社長の「数字オンチ」に追い打ちをかけるのが、事業承継の問題です。2025年には70歳を迎える中小企業の社長が245万人に達するといわれます(出典:中小企業庁、2019「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」)。社長自身が財務に明るくなく、後継者に会社の数字すら正しく伝えられないままでは、企業の存続は難しくならざるを得ないでしょう。

決算書は「社長の通信簿」

財務の世界では、決算書は「社長の通信簿」だと言われています。決算書は、売上や利益の数字だけでなく、経営者の意思決定の癖や姿勢まで映し出します。数字を理解しないままでは改善の一歩は踏み出せません。逆に言えば、数字を直視し、学び続ける社長は、たとえ今が赤字でも会社を再生させる力を持っています。財務を理解することは、社員や会社を守る覚悟そのものだということができるでしょう。

数字はときには厳しく目に映るものです。しかしそれは、会社の未来を切り拓く確かな道しるべでもあります。その道しるべを見逃さず指針にしていくことが、これからの経営を支える力となるはずです。