経営者
「共感」が利益を生むーSDGs時代の経営とは
中小企業の現実と日本経済
中小企業の7割が赤字と言われる現在の日本経済。一人当たりGDPは年々下落傾向にあり、需要不足・人材不足・原料高という「三重苦」の時代が訪れています。これは、これを読んでいる経営者の方にとっても、すでに実感として捉えられている現実ではないでしょうか。
高度成長期の「作れば売れる」時代はとうに終わり、平均的な商品やサービスでは売上も利益も生まれにくくなりました。こうした環境下で企業が生き残るためには、「共感」と「ファン」という視点を経営に組み込むことが不可欠です。
「理念」に「共感」するファンを作る
かつて渋沢栄一は『論語と算盤』の中で、道徳(正しい道理)と経済(利益)の両立を説きました。これは、以前から本ブログでも述べてきた、経営における「理念」と「財務」の融合にほかなりません。
企業理念とは、経営者が実現したい企業の理想であり、事業を通じて変革したい未来の姿です。この理念が経営の軸となり、財務を貫いていく――その過程において重要な役割を果たすのが、理念に「共感」した「ファン」の存在です。
ここで言う「ファン」とは、理念に共感し、それを自身のマインドとして自律的に行動する社員だけでなく、商品やサービスを通じて企業の姿勢に共鳴した顧客、さらには社会全体を含む存在です。
会社が掲げる理念に、社員や顧客、社会が「共感」し「ファン」になる──その共感の対価として利益が生まれるという仕組みです。
さらに、その利益が、企業が理念を実現し続けるための「実現コスト」として機能するとき、共感は循環し、会社はより強く、安定した存在へと成長していきます。そして、この積み重ねこそが、企業価値そのものとなっていくのです。
社会に必要とされる会社が生き残る時代
近年、金融機関の間で注目されている「事業性評価」も、この考え方と深く結びついています。SDGsが強く叫ばれる昨今では、過去の数字や担保だけでなく、「なぜこの事業が社会に必要なのか」「誰に価値を提供しているのか」といった、企業の持続可能性そのものが問われるようになりました。社会に必要とされ、確かなファンベースを持つ企業は、たとえ一時的に数字が厳しくとも、金融機関から「支援すべき価値がある」と判断されやすくなります。
共感を積み重ね、想いを財務に宿す経営を
もちろん、理念や共感だけで企業は存続できません。潰れないためには、数字という「算盤」が不可欠です。一方で、数字だけを追い求めても共感は生まれず、人も社会もついてきません。
共感という目に見えない資産を積み重ね、それを財務という目に見える形に転換していく。この「想いと数字の一致」こそが、これからの時代において、銀行からも社会からも選ばれ続ける、強い企業の条件なのです。
決算書の基礎から、現金損益®︎を活用した“つぶれない経営”の実践まで。
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